2010年7月12日月曜日

LuxRender v0.7 Finalの変更点詳細リスト

前回のv0.7 Finalのリリースに関する記事でもふれましたが、変更点の詳細リストを訳して
みました。オリジナルのリストの記載順でなく、内容やカテゴリ毎に並べ替えています。

量が多いので途中適当な部分もありますがこんな感じ。

仕様や挙動の変更

 ・数値的な不正確さを改善するためluxconsoleとluxrenderのコマンドラインオプションに
   -eと-Eが追加されました。自動的に設定されるイプシロン値の最小値と最大値の指定が
   可能になりました。またluxSetEpsilonのAPIコールを利用することも可能です。

 ・inifiniteライトの強さが変更され、設定の仕方も新しくなりました。
   望ましい結果を得るために環境マップを使う場合に関してはさらに改善が必要かと
   思いますがv0.7 Finalのリリースまでには変更される予定です。

 ・mixマテリアルのオプションでamountの値が0の時に最初のマテリアルが選択されるように
   変更されました。以前は同じ設定の状態で2番目のマテリアルが選択されていましたが、
   これは意図していない間違った動作でした。

 ・球面マッピングにおけるUV座標の向きが入れ替わりました。
   Uが緯度、Vが経度になります。マップのサイズと位置を調整するためのuscale/vscale、
   udelta/vdeltaといったオプションも追加されました。

 ・円柱マッピングの挙動が多くの3DCGアプリケーションに合わせたものに変更になりました。
   マップのサイズと位置を調整するためのuscale/udeltaといったオプションも追加されました。

 ・glossyマテリアルのroughnessとexponentのオプションの値の換算式が新しくなりました。
   roughness = sqrt(2/(exponent+2)) または exponent=2/(roughness^2)-2 となります。

 ・metalマテリアルのstring nameパラメータは、外部ファイルを読み込んでマテリアルとして
   利用している場合には、パラメータの値を複製しstring filenameとして継承されるように
   なりました。これによりネットワークレンダを行っている場合にファイルのやりとりが確実に
   行われるようになりました。


フレネルテクスチャ関連

 ・テクスチャタイプにfresnelが追加されました。(今のところまだマテリアルには設定できません。)

 ・constantフレネルテクスチャが新規に追加さました。
   オプションのfloat valueの値で可視領域の屈折率を指定できます。

 ・cauchyフレネルテクスチャが新規に追加されました。
   オプションのfloat cauchybの値でコーシー方程式における係数Bの値を指定します。
   係数Bが設定済みであればfloat cauthyaの値を同方程式における係数Aの値として設定するか、
   またはfloat indexの値で可視領域における屈折率の平均値を定義しておき、それを元に係数Aの
   値を推測させることができます。(係数Aの値よりもindexの値の方が広く用いられています。)
   (訳注:おそらくこの辺の話だと思います。)

 ・sopraフレネルテクスチャが新規に追加されました。
   string filenameの値に読み込むsopra形式のファイルのパスを指定します。

 ・luxpopフレネルテクスチャが新規に追加されました。
   string filenameの値に読み込むluxpop形式のファイルのパスを指定します。

 ・presetフレネルテクスチャが新規に追加されました。
   string nameの値に使用したいプリセットの名称を指定します。利用可能なプリセットの名称は
   metalマテリアルのプリセットと同じです。

 ・sellmeierフレネルテクスチャが新規に追加されました。
   オプションのfloat Aの値には定数部(多くの場合は1)を指定します。float Bおよびfloat Cには
   係数B、Cのリストを指定します(リストの長さは同一でなければなりません)。これらの設定を
   おこなうことでsellmeir方程式における屈折率を定義することができます。多くのガラス材料で
   この値を利用することができます。
   (訳注:おそらくこの辺が参考になるかと)


その他のテクスチャ・マテリアル関連

 ・blender互換テクスチャのオプションのturbulanceパラメータはturbulenceに名称変更されました。

 ・blender互換テクスチャは浮動小数点形式のみサポートするように変更されました。
   古い形式で色を取得するためには複数のテクスチャの合計として扱う必要があります。
   (以前より早いです。)

 ・brickテクスチャはよりリアルなパターンを表現するため大幅に拡張されました。

 ・タブ区切り形式のcolorテクスチャを指定した場合にスペクトルデータを外部ファイルから
   読み込むことが可能になりました。PBRT2形式のファイルが利用できます。

 ・浮動小数点形式のuvmaskテクスチャが追加されました。
   UV座標をもとにテクスチャの一部の領域を選択することができます。

 ・浮動小数点形式のimagemapテクスチャにstring channelパラメータが追加されました。
   レッド、グリーン、ブルー、アルファ、平均、色の平均といった画像のチャンネルを選択できるように
   なったため従来のように個別のアルファマップを用意する必要は無くなりました。

 ・chckerboard, dots, fbm, windy, wrinkledの各テクスチャは浮動小数点形式のみの対応に変更。

 ・イメージマップのクランピングのためにwhiteオプションが追加されました。
   0以上1未満の範囲外の部分は白色になります。

 ・glass2マテリアルが追加されました。
   bool dispersiveオプションで光線が伝達の過程で分光を起こすかどうかを指定できます。
   bool architecturalオプションで光がこのマテリアルを適用したオブジェクトを通過する際に屈折を
   起こすかどうかを指定できます。この2つ以外にオプションは持たないためマテリアルの色を
   指定したい場合には新しく追加されたボリュームプロパティを利用してください。


ボリューム関連

 ・MakeNameVolumeキーワードが追加されました。
   識別子の後に設定し、ボリュームオブジェクトの名前と関連するパラメータのリストが続きます。
   これによりボリュームのプロパティの定義と、識別子によるプロパティの参照が可能になります。

 ・Exteriorキーワードが追加されました。
   名付け済みのボリューム識別子があとに続きます。これによりオブジェクトの形状に基づく外部
   ボリュームのプロパティが定義されます。(外部とは面のノーマルが向いている側になります。)

 ・Interiorキーワードが追加されました。
   名付け済みのボリューム識別子があとに続きます。これによりオブジェクトの形状に基づく内部
   ボリュームのプロパティが定義されます。(内部とは面のノーマルの向きの反対側になります。)

 ・ボリュームプロパティにclearが追加されました。
   texture fresnelのパラメータでそのボリュームの屈折率を定義します。
   同様にcolor absorptionかtexture absorptionのパラメータでそのボリュームのスペクトルを設定します。
   屈折率に虚数を設定した場合にはabsorptionの設定はfresnel absorptionに加算されます。

 ・ExteriorとInteriorに対して""を利用することでボリュームプロパティを無効にすることができます。
   これはインスタンスオブジェクトのプロパティを再定義する際に便利です。


その他の追加や変更

 ・Dade氏によるレンダリングヒントのフレームワーク導入により大半のインテグレータで光源の
   サンプリングに関して、より多くのオプションがサポートされました。

 ・mitchellフィルタにsupersampleのON/OFFを切り替えるオプションが追加されました。
   擬似的に高解像度でサンプリングを行った後に画像を縮小する処理を行います。
   UIはv0.7Finalのリリースまでに変更の予定ですが、フィルタサイズの値は自動的に5/3倍されます。

 ・古いquadシェイプは削除されました。代わりにmeshシェイプを使用してください。
   quadはmeshシェイプと同じ形状でありv0.6まででサポートされていました。
   (訳注:LuxRenderネイティブ形式のファイルでデータのエントリとして用いられているキーワードに
   関しての変更かと。blenderからエクスポータ経由でレンダしている限りは影響ないはずです。)


 ・浮動小数点形式の以下のテクスチャタイプは実用的でないため削除されました。
   blackbody, equalenergy, frequency, gaussian, irregulardata, lampspectrum, regulardata
   (訳注:こちらもLuxRenderネイティブ形式のマテリアルファイルでの変更かと思われます。
   同じくblenderからエクスポータ経由でレンダしている限りは影響ないはずです。)



と、いろいろありますがLuxRenderのネイティブファイル形式に関する変更や、luxblendを利用して
レンダリングをしている限りでは影響の無い部分に関しての内容も多い感じです。
知っておいて損はしないけど得もしないというか、誰得?と言われれば俺得wとしか答えようが
無いというか・・・

ざっと見たところでは、ボリュームの扱いやフレネル反射が存在するマテリアルにいろいろ手が
加えられている点、mixマテリアルのamountの扱いやUVマップの座標の変更などが知らずに
いるとはまってしまうかもという感じ。以前に作成したマテリアルやファイルを使いまわすときは
注意した方が良さげです。

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