2016年6月12日日曜日

GTX1070 ベンチマーク Cycles・Luxrender・OpenGL

GTX1070が先日発売されましたが、3DMarkなどゲーム系のベンチマーク結果
見かけるもののCUDAやOpenCLなどGPGPU用途での評価はあまり見かけないので
やってみました。
Cycles、LuxrenderのGPUレンダリングモードで試してみました。

環境は以下のとおりです。
 OS:Windows10 pro
 CPU:Core i7-5820K
 RAM:16GB
 GPUドライバ:GeForce Game Ready Driver 368.39
 GPU:GTX970、GTX1070

ちょうどGTX1070対応の上記バージョンが入手できるようになってたので
ドライバだけ先に更新してから970のベンチマーク、換装、1070のベンチマークという
ながれで実施しました。


各ベンチマークの内容は以下のとおりです

まずはCyclesでのベンチマーク。
定番の下記リンクにあるシーンファイル、BMW27.blendでテストしています。
Cycles benchmark (updated BMW)

ただしGTX1070を含むPascal世代のGPUではシェーダーモデルのバージョンが
6.1となり、現在のblender2.77aのCyclesではこのバージョンに対応していません。
このため通常どおりにインストールしたままの環境ではPascal世代のGPUを使って
CyclesでのGPUレンダはできないのですが、下記のページを参考に対応する
cubinファイルをcyclesのアドオンフォルダに追加することで、とりあえずはGPUレンダ
が動くようになります。

GTX 1080 GPU problem when trying to render in Blender

ただし、詳細は後述しますがあくまでも『とりあえず』といった感じです。


次にLuxrenderでのベンチマーク。
こちらも定番のLuxmarkを使用しました。
今回は最新版となるLuxmark v.3.1がリリースされていたので、Binariesの項に
あるWindows 64bit用のファイルをダウンロードして使用しました。


以上のベンチマークのスコアは下記のようになりました。
スコアはすべて970, 1070の順で記載しています。
スコアのとなり、丸括弧内の値は各ベンチマーク実行時の最高GPU温度です。
温度の取得はSpeedFanで行いました。


Blender 2.7 Cycles Benchmark rev4
 1:24.51 (75℃) 1:56.54 (67℃)


Luxmark v.3.1
 LuxMark OpenCL GPUs LuxBall HDR (Simple Benchmark: 217k triangles)
 11513 (73℃) 16623 (74℃)

 LuxMark OpenCL GPUs NeumannTLM-102 SE (Medium Benchmark: 1769K triangles)
 7450 (76℃)     9516 (70℃)

 LuxMark OpenCL GPUs Hotel lobby (Complex Benchmark: 4973K triangles)
 2508 (80℃)     3517 (78℃)


以上の結果で気になるのはLuxmarkで順当にスコアが伸びているのに対して
Cyclesでの値が逆に悪くなっている点です。これはどうやら追加でインストールした
CUDAの実行ファイルが古いバージョンのSDKで作られている可能性が考えられます。
Pascal世代のGPUに対応した新しいCUDA SDKは現在α版が公開されたようですので
こちらを利用してビルドされたものを使用して、再度評価をしたいところです。

で、CyclesはGPUレンダリングにCUDAを使用しているわけですが、Luxrenderでは
OpenCLをGPGPUのためのフレームワークに使用しています。
そのためCUDAのバージョン依存の影響を受けずGTX970に対して良い結果が出ています。
またスコアは3〜4割向上していますが、ベンチマーク時の最高温度はほぼ同じ程度に
とどまっているので消費電力あたりの性能が改善されていることが感じられます。

またGPU温度に関してはアイドル時の温度が手元の環境では室温28℃において
GTX970が37℃、GTX1070が41℃でした。
これは前者がメーカーオリジナルの開放型クーラーなのに対して
後者はnVidiaリファレンスクーラーという違いが大きいかと思います。

手元のケースではGPUを挿しているスロットがちょうどケース吸気ファンからの冷たい
外気が直接あたる位置にあるため、開放型クーラーではその恩恵をうけられていましたが
筐体外排気のダクト一体となった密閉型のリファレンスクーラーでは外気が当たったと
してもあまり影響はありません。

動作時の騒音としてはGPU換装の前後での違いは自分では感じませんでした。
ベンチの結果をみても冷却に問題はなさそうなので心配ないかと思います。


最後についでにOpenGL関連のベンチマークも行ったので結果を載せておきます。

CINEBENCH R15 OpenGL
156.00 fps 153.18 fps

SPECviewperf12
catia-04    50.85  69.89
creo-01    30.64  44.69
energy-01    5.81   8.74
maya-04   94.56 117.86
medical-01  27.40  41.82
showcase-01 60.94  94.49
snx-02     5.80   6.83
sw-03     45.73   53.96

ゲーム系のDirectX関連の評価結果はよく目にしますがOpenGLの評価結果は
CINEBENCHくらいしかみないので、3DCGや3DCADでの利用も考慮すると
GPUの買い替えなどでの判断材料が少なくていつも悩ましいところです。

SPECviewperfではMaya、catia、creo(旧Pro ENGINEER)、Solidworksなど
の3DCAD、3DCGツールの描画エンジンをベースにベンチマークを行うので、
実際の各アプリケーション、特に3DCADでのOpenGL描画のパフォーマンスが
想定しやすくおすすめです。


結果としては、価格と性能、発熱や消費電力といったバランスがGTX1070の
良いところかなという印象です。発熱や消費電力などを気にしないのであれば
時期的に値段も落ち着いた980Tiも選択としてはありかな、という感じでしょうか。

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